風の墓碑銘

風の墓碑銘

風の墓碑銘

女刑事音道貴子とベテラン刑事滝沢のシリーズ最新作長編。(らしい)
1ページ目が頭に入らなくて数日寝かせていたのが不思議。
頭に入らなかったのは、作品のせいではなく自分の頭がぼやけていたせいだったとわかる面白さだった。二人の刑事をはじめ人物描写も素晴らしいし、事件の展開にもひきつけられたが、何より、夏のじりじりする暑さの中の捜査が伝わってきた。黒澤明の「野良犬」のように、エネルギーをもてあましたようなぎらぎらした焼け付く暑さではなく、もう少し身近な、焦燥感を伴うような暑さとでもいった感じか。
読み進むうちに、滝沢刑事の造形が泉谷しげるを思い出させて仕様がなかった。
もし、映像化されるなら、ぜひ希望したいところ。ヒロインは誰だろう・・・