p2 *[VHS]*[ふや町映画タウン] 噂の女

噂の女 [VHS]

噂の女 [VHS]

京都島原の置屋が舞台。堂々たる間口の立派な置屋の全景を臨みながら、一台のこれも、道の幅一杯はあろうかという大きな外車が勢いよく走り来て、置屋の前に止まる。
モノクロームの画面から、置屋の重厚な色、外車の鮮やかな色が浮かぶような始まり。車が止まって誰が降りてきてどのような物語が始まっていくのだろうか。。緊迫感と期待に引き付けられていく。
田中絹代の和装、久我良子の洋装。この洋装は、『キネマ洋装店』http://homepage2.nifty.com/cineyoso/uwasanoonna.htmという素晴らしいサイトが表現してくださっている。和装と洋装という表面的な単純な対比にみえるけれど、それが深い生きようの対比でもあり、また和の中に洋があり洋の中に和の理解もあるという重層的な意味も紐解かれていく。

余談ながら、『http://homepage2.nifty.com/cineyoso/』の素晴らしさについては、かねがね、『日常整理日誌』という知の面白さを立体的に、身近にしてくださるサイトのponymanさんからうかがっていたのですが、今回あらためて、ほんとに!!と感じ入りました。ありがとうございます!

劇中、能や日本舞踊、狂言も登場。骨子の肉づけに役割を背負っており、他の映画からの印象に加えて、溝口健二監督の古典芸能への思いを感じる。
また、現在、島原と言えば、太夫の教養や道中行、建物の遺構など文化的な価値の高さばかりを知るところですが、映画では、御茶屋置屋として本来?の面が描かれておりその意味でも興味深かった。
さらに、『京都 北白川』にいい物件があり、それを見に行く場面がでてくるのだが、どのあたりなのかわかるようなわからないような。。で、それも特定したい好奇心に駆られた。

映画のストーリには触れず、周辺ばかりを話したように思うが、価値のある作品であると思う。