かもめ食堂

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

近頃は仕事の帰りに寄るのが楽しみだったり、その時読みたい本、読みかけの本を鞄に入れてふらりと立ち寄る美味しい珈琲のお店「月と六ペンス」がある。
カウンターだけのこのお店は、そのカウンターに本が、おそらく店主が読まれたのであろう、主に文庫本がずらりと並んでいて、席に座った客もまた手を伸ばすことができるのだ。タイトルを眺めて中身を想像するだけでも楽しいし、まして、読んだことがある一冊があれば、なぜだか、とてもうれしくなる。その日、いつも背表紙を眺めてはいても手に取らなかった群ようこさんの「かもめ食堂」を抜き出してみた。もちろん、大ヒットした映画は大好きで何度か見ている。そのことが、原作を取ることをためらわせのかもしれないが。お気に入りのトーストセットを注文してぱくつきながら(本を汚さないように)読みだしてみると、いきなり面白い。映画では描かれていなかった細かな描写がなされていて、それが記憶にある映画をさらに深めたりもして、いや、そんなことより、やはりお話そのものが面白い。が、いつもは、もう少しだらだらと過ごすのに、時間を急いでいて、数ページでたたまなければならなくなった。
続きが読みたい。また「月と六ペンス」で読もうか、でも、あの席が空いていなければ、あの本を手に取れない。でも、しかし。。。そんな風に読みたい本。